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溢れるMGS愛:PHILOS-ANTHROPOS

MGS語りや小説、考察?落書きと、愛しかない一風変わったMGS日記(不定期)

 
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Category: 小説【もくじ・関連記事】 >  唯一の贈り物  

唯一の贈り物・1:MGS小説。ややスネオタ風味(友情です!そして友愛になるまで)

 



人生で、もうこれ以上ないくらい、かけがえのない景色に出会えるのは、本当に幸福なことだ。
忘れられない思い出は、いつまでも、いつまでも、思い返すたび心に残って、そうして未来まで守ってくれるのだと、知った。






モニター画面の中に、メイリンの当惑した顔がある。

「すごくいい雰囲気にだったって聞いたのに、どうして?あなたも気に入ったみたいだったじゃない!」
「うん、だからだよ」

曖昧に笑って返事をすると、彼女はますます左右の眉間の高さを変え、口をへの字に曲げた。
意味が分からない、という表情だ。その気持ちは分かる。

「だからって?」
「魅力的なひとだったから」
「だから何よ?」

少し怒ったような声を出され、返答に困った。確かに申し訳ないことをしたかもしれないという気になってくる。

「うん…」

先日、どういう訳か女性との食事をセッティングされた。
はたから見ていると、どうやら自分は相当覇気がないというか、もう長いこと立ち直れていないように見えるらしい。
あんまりメイリンや、一緒にいるサニーや、ついでに連絡をくれるアキバやメリルまでが心配するので、仕方なく食事に出向いてきた。

相手の女性は日系で、歳は自分より少し若くて、落ち着いた声の、感じのいい話し方の人だった。
手が綺麗で、控えめな色の爪をしていた。髪の色が暗い茶色で好きな色だと思ったし、目は黒目がちで、少し首をかしげてこちらを見る様子が、可愛らしかった。
以前の自分だったら、どぎまぎしてしまいそうな、魅力的な女性だ。

一番素敵だったのは、ジャパニーズアニメが好きだと話してくれた事だった。
きっと、多分、とても貴重なめぐり逢いだったんじゃないかと思う。それがメイリンや、周りの努力の賜物だったとしても。
すごく可愛いとは思った。なんだか抱きしめたくなるような可愛さだ。
でも、食事が済んだらタクシーに乗せて、そこでさよならした。連絡先も聞かなかった。
相手は残念に思ってくれたようだ。それはうれしい。うれしいけれども。

「つまりね、このまま上手くいっちゃうと、やっぱりそれなりの対応が必要だろ?」
「それなり?」
「もしお付き合いなんて方向になっちゃったら、困るから」
「どうして?何でそれが困るのよ!」

メイリンは口を尖らせて、お得意の質問攻めを続ける。彼女は疑問をとことん追求しないと気がすまないところがあって、それはすごく可愛いと思う。
しかし気をつけないと、余計な事まで聞かれてしまいそうだ。

「…お付き合いってことはさ、仲良くするだろ?その、例えば、キスとかね。したくなっちゃうかもしれないし」
「そりゃするでしょうよ。何がいけないのよ」

当然、そういう目的のセッティングだった訳なので、出向いて行った時点である程度その気があると思われても仕方ない。
やっぱり申し訳ないことをしたと思うのと、これ以上あまり色々話したくないのとで、つい声が小さくなった。

「それが困るっていうか…」
「何で困るのよ!」

自分とは反対に、メイリンはだんだん声が大きくなる。
何と言って説明したものか、それがほとほと困った。やっぱりそういう気はない、で通して、家で大人しくしておくんだった。

「えーと、うー、そうだね、それはあれだ。友達だったら大歓迎なんだけど」
「友達みたいなもんじゃない」
「そうだけど、みたいじゃ困るんだよね…」
「何なのよそれ!?」

まったくらちがあかない。こんな時、どうしたらいいだろう。
思わず眉間を上げると、緩めにかける設計の眼鏡が鼻を伝った。なんだか自分の気持ちを代弁しているようだ。

途方に暮れるけれども、盛大に文句を言い始めるメイリンは、やっぱり抱きしめたくなるように、可愛いのだった。







窓の外には、目の覚めるような夕焼け。
情熱を溶かして流し込んだような鮮やかな景色を、少し惜しい気持ちでブランドで遮る。

終の住みかは、スネークが犬と、メリルと暮らしたアラスカの家を買い取り直し、リフォームした。
本人は嫌がったけれど、そうしたかった。ここがいい思い出になるように。
ベッドを置く部屋は二階の、一番景色のよく見える場所にし、大きな窓を付けた。
妙な気を起こしても開かないように、でも風を入れたりはできるように、頑丈な電動式で、スイッチには暗証番号をつけてある。
我ながらやりすぎの気もしたし、部屋の主も何も言わなかったけれど、呆れた顔はしていた。


「どうスネーク、熱くないかい?」
「ん、ああ。いい、自分でやる」

そう言われ、体を拭くタオルを渡す。
歩くのが大変になって、世話を焼かれるようになっても、スネークは自分の事は自分でしようとした。
だから初めの少しだけを、彼のやる気を起こすくらいの事だけして、後は任せてしまう。

「明日はお風呂に入ろうね。髪を洗ってあげるからさ」
「自分で洗うからいい」
「いいじゃないか、たまには」
「ごめんだな」

本当は全部してもよかったし、そのうち嫌がられてもそうなると思っていた。
だからなるべく備えて勉強した。それくらい、手がかかるまで生きてほしかったから。

「君はおじいちゃんになっても、何だかセクシーだねえ」

起こしたベッドの枕に身を預けながら、首を傾け腕を上げて拭く様子など、なかなか絵になっている。

「女性だったらお世話のしがいがありそうだ」

しみじみ呟いていると、憮然とした顔がこちらを向いた。

「気持ち悪いこと言ってないでお湯をよこせ」
「なんだよ、素直な感想なのに」

お湯の入った洗面器をワゴンに置くと、ベッドに寄り添わせる。

「ああどうも。もういいから向こうに行ってろ」

不機嫌そうなのに、お礼は言ってくれるんだな、といつも思う。それとも彼なりの嫌味なのかもしれない。

「そうかい?じゃあ困った事が起きたら呼ぶんだよ。お湯をひっくり返したりとか」
「お前な…」
「まったく恥ずかしがり屋さんなんだから」

からかうように言って、相手の嫌そうな顔に笑いかけ、部屋を出る。インターホンが付いているから、終わったら呼ばれるだろう。
あまり自分が心配するので、スネークは小さな事でも報告してくれた。
本当は心配なんて、それほど彼が弱って見えると分かってしまうのでやめたかったが、止まらなかった。



ベッドの脇の窓は常に時の移り変わりを映して、スネークだけじゃなく、サニーや自分も楽しませてくれた。
二人して彼のところに入り浸っては、嫌がられている。

「お前たちはあれか、自分たちが絶景を見たくてこんな窓にしたのか」
「いいじゃないか。皆で見た方が綺麗で。ね、サニー」

サニーは声を立てて笑った。彼女はすっかりよく笑うようになっていた。
メリルの結婚式に出逢った少年と、マークⅡを通して毎日話している。そのうちまた、メンテナンスにいかないと。
次もスネークを連れて行けたらいいけど。

昼の光に雪解けがきらめく様は、まるで光の国に来たように目映い。
胸を開いて幸せを見せたなら、きっとこんな景色になるだろう。

「研究所にいた頃は、あんまり外なんか見なかったからなあ。こんなに綺麗な所に住んでたのに、勿体なかったね」
「そうでもないさ。景色を楽しめるようになるには、それなりの年期がいる」
「そうかな、そうかも」

同じ景色を見ても、抱えているものによって、受ける感動は全然違うのだろう。
あの頃も、もしかしたら今のような風景を見ていたかもしれない。ただ心に残らなかっただけで。

ある日、ふと気づく時がある。自分のいる世界が、こんなにも美しい場所だと。
ウルフを失った時の雪原がそうだった。
怖いくらいに冴え冴えとして冷たく、真空のように美しく、まるで自分がその中に存在したらいけないような気になった。
彼女を好きになった時に感じた美しさを、その時にはもう、思い出せなかった。

スネークも、何かしらそういった経験があるのだろうか。
そう思って目をやると、彼は自分を見ていた。めずらしく穏やかな顔つきだ。怒ってもいないし、機嫌が悪くもない。
ただ、なんだかいつもと違う感じがした。

「たまには外に出たいもんだ」
「そう?散歩にでも行くかい?」
「そうだな。それなら行きたい所がある」

片方の眉を上げて、口の端を上げると、いつもの彼の、人の悪い笑みになる。
行きたい所があるなんて、どういう風の吹き回しだろう。でもスネークがわがままを言うのはうれしかったので、二つ返事で了解した。

「噴火口の中とかでなきゃ、よろこんでお供するよ」



冗談めかして言ったはいいけれど、散歩は意外に骨の折れる場所に行く事になってしまった。
思い出の島だ。シャドーモセス。
今の時期には海面を陸路で行くには少々不安で、ヘリを飛ばすために許可を取る必要がある。
島への侵入許可も必要で、コネで取り付けてもらえないかと、アキバからメリルへ、メリルからキャンベルに取りなしてもらい、話をした。
いまだに、あそこは打ち捨てられて、立ち入りも容易にできない。

「スネークのためなら」

キャンベルはそう言って、すぐに一通りの申請をしてくれ、しかも口利きで驚くほど早くに許可をもらってくれた。
次の日には、もうヘリを飛ばす準備が整っていた。

スネークの気が変わらないうちに、出発できそうでよかった。
でも最後の任務の時にも行ったし、散々二人して懐かしんできたのに、今さら何かやり残した事でもあるんだろうか。
そう不思議に思いはしても、彼を外に連れ出すのは楽しみだった。







つづく



 

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テーマ : 二次創作:小説    ジャンル : 小説・文学
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◆プロフィール

輝思回生

Author:輝思回生
MG、特にMGSシリーズをこよなく愛しています。
こそこそしたり、遠くから眠らせたり、後ろから忍び寄って脅してみたり、なんて私にぴったりなゲームなんだ!

とにかくオタコンびいきです。
オタコンならば何でもいいという!(笑)
そしてスネークおじいちゃんのお髭愛も!

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