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溢れるMGS愛:PHILOS-ANTHROPOS

MGS語りや小説、考察?落書きと、愛しかない一風変わったMGS日記(不定期)

 
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Category: 短編小説【もくじ】 >  火薬の花-HANABI-  

火薬の花-HANABI-:MGS小説。夏の日本になんだかやってきちゃったお二人の友情とか!

 



夏の東京の過ごしにくい事といったらない。それがスネークの感想だった。

暑さだけならここより暑い国はいくらでもある。
しかしこうやたらと汗の出てくる気候と、少しでも裏道に入ろうものなら室外機の容赦ない熱風が打ち付けてくるような環境は、NYによく似てはいるものの、不快指数は比べ物にならなかった。
特に夜の暑さと残暑と呼ばれるものはいただけない。風向きによっては過ごしやすい日もあり、8月も下旬になれば涼しくなるNYとは違う。

オタコンが日本に来ることになったのは、ロボット工学セミナーでの講義を依頼されたからだった。
シンポジウムも兼ねている定期的な催しのようで、ハル・エメリッヒ博士への依頼だ。
てっきり断るのかと思っていたが、思いがけず縁があってその道の権威とかいう博士に声をかけられたらしく、舞い上がったオタコンは、二つ返事で快諾してしまった。
滅多にない機会だとか何だとか言って、他にも行きたい場所をあれこれピックアップし、あまつさえ自分に同行を願い出る有り様だった。
日本は治安のいい国だが、ノースコリアの組織の人間がやたら潜伏しているとも言われている。
メタギア関係でないにしろ、オタコンが博士として向かう以上、頼まれたら付いて渡るしかなかった。


それにしても、日本に入国してからというもの、世界に名だたるアキハバラとやらに行くんだの、何とか言うコンベンションに足を運ぶだの、連日歩き回っていて、これでは肝心のセミナーまで、当人の体力が持たないのではと心配になる。
付き添って歩いているだけのスネークですら、色々な意味で消耗していた。

日本というかアキハバラには、およそ普段の生活からは見られないような格好の娘さんたちが溢れている。
それはまあ、なかなか楽しい眺めではあったが、そんな人間やそうでない人間が、すし詰め状態でイベント会場に詰まっているとなると、流石にうんざりを通り越してげんなりだった。
体のラインも露なコスチュームで、胸の谷間や太ももを惜しげもなく晒している女性達が、せめてもの心の慰めと言えば慰めだったが。

「君もスニーキングスーツとかで来たら注目の的だったね!出典はともかく人気者になれたと思うよ。それか軍装備なんて、ファンからしたら垂涎ものだろうし」

物珍しそうに出展物を眺めながら、にこにこと脇で話している男の顔を見ていたら、ぶん殴って気絶させて抱えて帰ろうか、という気に一瞬だけなった。
勿論しなかったが。


その後にアサクサだの、日本情緒とやらも一応押さえておくんだと東京の一部を満喫し、今日はどうやら都心を離れる予定らしい。
オタコンは駅の構内でガイドブックとにらみ合い、目的地と同じ漢字を探している。
東京も場所によっては日本人以外の人間も多く見かけた。
ビジネスでこの国にいるのはあまり居心地が良さそうに思えない。何とも言えない疎外感のようなものを、訳もなく感じる国だ。
イベントの会場にいた時にも感じた事だが、思いの他頻繁に、人によってはやたらに好奇の視線を送ってきたり、または遠慮がちに盗み見たりされている。
恐らくただ日本人でない、という、それだけで。
さりげなくだが、身構えられる空気を感じながら年中過ごすのは、やはり多少なりとも神経に応えた。

「多分この色の電車に乗ればいいんじゃないかな。ここに行くんだけど」
「どれ」

ガイドブックと説明と、路線図を眺めて確認する。
オタコンは、この手の事柄から法則を導き出すのが異様に速い。例えば数字の羅列の法則性などがそうで、要するにIQが高いのだ。
しかし見つけた法則で独自に判断をするようなところもあり、説明をよく読んでいなかったりと、予想もしない部分でとんだ勘違いをしていたりするので、そのIQが必ずしも役に立っているとは言えない。
頭がいいのと能力が高いのとは別問題だ。

「ああ、いいんじゃないか」
「君が日本語できたらいいのに。その気になればちゃっちゃと覚えられるんじゃないの?」
「お前の趣味に付き合うためにか?ごめんだな」

乾いた視線を送ると、相手は口を尖らせている。
特殊部隊の語学習得には、日本語は含まれていない。要するに使う機会がないのだ。
その上日本語のハードルは数ある語学の中でも相当に高い。今後役に立ちそうもないのに、わざわざ覚える気にはなれなかった。

そんなやり取りに傾いた相棒の機嫌も、電車に乗ってしまえば元通りで、車窓に流れていく景色を飽きもせず眺めながら賑やかにしている。
確かに、同じような街の風景ですら、本国で目にするものとは大分感じが違った。
無事車両に運ばれ、着いた駅から地図に従いホテルに向かうと、オタコンはレセプションで名乗り、何やら話を始めた。
東京もそうだったが、英語が通じるホテルがあるのは安心だ。
しばらくすると、脇のカウンターのコンシェルジュらしき人物から、大きめの荷物を手渡され、それを嬉しそうに抱えて戻って来る。

「何だそれは」
「ネットで日本の店の買い物したんだ。ホテルに相談したら、発送先をここにして受け取ってもらえるっていうからね」
「そんな事も頼めるのか」
「お願いしてみるもんだねぇ。日本のサービスは世界でもほんと指折りだよ」

浮かれた様子でエレベーターに向かう背中を追い、鞄その他を運ぶ。
それにしても、やけにかさばる物を買ったらしい。また荷物になるな、と思うと溜め息が漏れた。日本に来てから、持ち運ぶ物の質量重量は増える一方だ。

「で、何を買ったんだ」
「明日のお楽しみ」

クリスマスのプレゼントのように大事そうに両手に抱えられた包みは、大きさに比べ、重さはそんなにないように見える。
最悪買った本人に持たせればいいか、という気になり、内容への興味はこの際どうでもよくなった。
あと数日、セミナーが終わって帰国するまでの間の辛抱だ。
暑さも、面倒臭さも、訳の分からない周囲からの疎外感も、相棒に振り回されるのも。

「部屋はね、予約の時よりいい位置に替えてくれたんだってさ。珍しくキャンセルが出たんだって」
「ほう」

言われながら部屋に入ると、確かに眺めはいい。海と橋が目の前だ。
そろそろ日が傾いて、空も色付いてきている。
このままのんびり部屋でくつろいでしまいたいが、持ってきた煙草が底を突きそうだった。
というのも、意外にも日本は先進国にしては喫煙に寛容だ。
驚いたのは、今では一部の愛煙家しか吸わないモスレムのような有煙煙草を、普通に吸っている人口が多いことだった。そこは何ともいい国だと思わずにいられない。
流石に駅の喫煙所の隔離された空間で、燻製のごとき燻し具合になった時には閉口したものだが。
そんな周囲の環境につい、箱を開けるペースも早くなったというわけで、今晩辺り切らしてしまいそうな予感がある。
有煙煙草は注文販売なので諦めるとして、この際無煙の物でもいいのでストックを補給しておきたい。

「煙草を買いに行ってくるが」
「買い物?僕も行くよ。海の方歩いてみたいし」

まだ出歩こうとするオタコンを大丈夫なのかと思い、振り返る。

「歩けなくなっても知らんぞ」
「平気平気、いざとなったら置いてってくれていいよ」

それでは一体何のために自分がいるのか分からない。
この男に限界がきたら、背負うなり抱えるなりして帰って来なくてはならないのは目に見えている。
口だけしおらしい事を言う相棒を睨むと、目の前の顔は罪の無さそうな様子で笑っていた。

ホテルに煙草の販売場所を尋ねると、何と注文販売のはずのモスレムが、コンビニエンスストアで手に入ると言う。
用意するかと聞かれ、自分で買いに行く旨を伝えて二人で外に出た。

「日本のコンビニっていうのはあれか、手に入らない物はないのか」
「魔法のお店だね。置いてある食べ物も美味しいし。その分物価は高いけど」

確かに魔法並みに何でもある。それが売れているのかと疑うものまである。
何度か立ち寄ってみたが、日本ではコンビニさえあれば生活していけそうな品揃えを誇っている。本国のコンビニとはまるで比べ物にならない充実ぶりだ。至れり尽くせりとはこういう事を言うのだろう。
こうした環境に慣れて生きていると、この島国から出る気にはならないかもしれない。

そんな独特の文化圏であるコンビニでモスレムを頼むと、やはり問題なくカウンター向こうに用意されていた。
試しにワンカートン頼んでみたが、何と店員は嫌な顔一つせずに奥から箱を出してくる。
流石にこれには感動を覚えた。

「スネーク、ちょっとこれ見てくれよほら!」

やけに興奮した高い声を受けてそちらを見ると、オタコンが目を輝かせて平たい袋とビニール製の巾着を差し出している。

「花火まであった!これって驚きだよね!」
「誰が買っていくんだろうな…」

日本人は、立ち寄った店で花火を買って帰って、どこぞで火遊びをしたりするらしい。確かに驚きだ。

「僕は君にぜひその一人になってほしいと思う」
「何?」
「いいじゃないか、ね!煙草のついでに花火買って帰るなんて、日本の文化に親しんだみたいでオツなもんだよ」
「お前な…」

人に何を買わせるんだという気がしたが、オタコンのテンションと店に響く英語で、自分達がかなり悪目立ちをしているのが気になり、これ以上騒がれないうちに支払いを済ませて外に出た。
相棒は隣で花火を胸にご満悦だ。

「日本は花火に対する規制とか、ないに等しいんだよ、どこでもできるんだ。すごいよね」
「そうなのか。それでよく火事だらけにならないもんだ」

本国では花火は危険物扱いで、独立記念日でもなければ滅多に手に入らない。個人でやるとしても打ち上げ花火が主だ。
気楽に家庭用花火を楽しめる日本という国は、やはり平和なのだろう。

「ちょうど海が目の前だし、暗くなったらやりに行こう!行くだろ?行くよね?」
「一人で行かれちゃ敵わんからな」
「そうこなくっちゃ」

期待を込めた笑顔を向けられると、わざわざ逆らって機嫌を損ねるのも馬鹿馬鹿しくなる。同じように消耗するのなら、相手が楽しそうにしている方がましだ。
色々と諦めた気持ちになるのは、何も今に始まった事ではなかった。
そうまでして一緒にいるような人間は、今までにいなかったから、どうするのがいいのか分からない。だからもう、これは仕方ない、という気になるのだ。

それに気がつけばいつでも、悪い気はしていないのも事実だった。
家庭用の花火など、実際にやってみるのは考えてみたら初めてのような気がする。
子供の頃、独立記念日に専用のショップが立つと、羨ましいような気がしていた。
しかし年を経るにつれ、そんな記憶は薄れて行き、やったがやらなかろうが知識があればどうでもよくなる事だらけだ。
そうやって自分が興味を持たずに通りすぎているものに、こうしてオタコンが引っ掛かり、足留めをして、それを目の前に持ってくる。
よく見れば、いつかその昔、小さい頃には興味があったもののような気もする。
よく見れば、立ち止まって手を伸ばし、触れてみてもいいもののような気もする。

火薬もその匂いも慣れ親しんだものだが、同じ材料からできていても、花火の目的は全く違う。
楽しみに、慰めに。オタコンの好きな、平和利用というやつだろう。
そうした、己の人生には無縁だったものに、改めて接してみるのも、悪くはないのかもしれない。

そう、よく見れば。








つづく


 

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テーマ : 二次創作:小説    ジャンル : 小説・文学
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◆プロフィール

輝思回生

Author:輝思回生
MG、特にMGSシリーズをこよなく愛しています。
こそこそしたり、遠くから眠らせたり、後ろから忍び寄って脅してみたり、なんて私にぴったりなゲームなんだ!

とにかくオタコンびいきです。
オタコンならば何でもいいという!(笑)
そしてスネークおじいちゃんのお髭愛も!

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