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溢れるMGS愛:PHILOS-ANTHROPOS

MGS語りや小説、考察?落書きと、愛しかない一風変わったMGS日記(不定期)

 
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Category: 短編小説【もくじ】 >  鐘の音(カネノネ)  

鐘の音(カネノネ)-すべての人のための音-1:MGS小説。雷電とローズの結婚式をみんなで祝おうinアラスカ

 
鐘の音(カネノネ)~すべての人のための音~【1】









この世界は音でできている。
決して聞こえなくなることのない音色で。

4Dのサウンドデータでの情報を、サニーが解析した、その様子をつぶさに見た。
その時ふと、戯れに思い付いたことがある。
三次元、物理的空間に時間的要素が加わると、音になるんだ。
笑ってしまうような話だけれど、僕はその考えが気に入った。
音は多分、僕達の魂にとても近い性質で、潜在しているものだ。
高次元の世界にある魂の波動は、物理的次元の音の波動によく似ているに違いない。

僕らは音でできている。







長い冬の明けたアラスカには、ほとんど夜のない、短い夏がやってくる。
眩しく木々の葉を輝かせる太陽が、地面に姿を隠すのは、一日のうち4時間ほど。
極寒の地にひっそりと眠っていたあらゆる生命が一斉に目を覚まし、その鮮やかな息吹の営みを、白銀に覆い隠されるまで謳歌する。
5月の下旬から9月下旬の、ほんの数ヶ月。

アラスカで最も未踏の地と言われる、レイク・クラーク国立公園。
その内部に位置するツイン・レイクス湖畔でも、6月になったばかりのこの時期は、初夏の豊かな恩恵を十分、目に楽む事ができた。
まだ雪を被ったまま、頂を白く染めた山々が空に姿を預ける中、木々は明るい色に染まって芽吹き、あるいは蕾を覗かせている。
湖には魚が姿を見せ、釣り糸を垂れるにも楽しい季節だ。

そんな湖のほとりに暮らし、大自然と共存して生きた男がいた。
リチャード・ブローンネク。彼の丸太小屋とその周辺は、後に歴史的景観地に指定され、図書館に行けば本もある。

その生き様に感銘を受け、スネークはこの地に移り住んだ。
幸い彼の住まいは、同じ湖を望んでいても離れた場所にあり、景観には含まれていない。
ソリを引く20匹余りの犬たちと生活し、そしてシャドーモセス以降はほんの一時期、メリルと愛を育んだ、手作りのログハウス。
今では改装が施され、さながら未踏の地に出現した魔法の家のような、二階建ての一軒家に姿を変えていた。
彼の相棒であるオタコンが、今ではこの家の主だ。

まだ真新しい丸太でできた家の周辺には、いくつか小さな小屋が寄り添い、自然にダメージを与えないよう、様々な試みが成されている。

「ほんと見違えちゃったわ、同じ家とは思えない。陸路もないのにどうやって業者入れたの?」

一階のリビングらしき広間では、落ち着いたグリーンのドレスの女性が、てきぱきとダンボールの荷物を解いていた。
メリル・シルバーバーグ。昔スネークとこの家に暮らした彼女も、もう人妻だ。
ゆったりと軟らかな布のドレスは、緑の瞳に合わせたようで、彼女の赤毛もよく生えて美しい。

「うんまあ、まだノーマッドもあったし、色々ね」
「え~?ちょっと色々じゃ分からないじゃない。オタコンてば、いつもそうなんだから」

所在なさげに立つ家主の背後では、黒髪をアップにし、花飾りを添えたアジア系の娘が頬を膨らませる。
メイ・リンだ。
成人していてもどことなく少女のような面影があり、それが言動にも現れている。
金刺繍の入ったボルドーのチャイナドレスに身を包み、窓から望む湖を背に、仁王立ちになっていた。

「フォーマルで来いって言うから来たら、働かす気ならエプロンくらい持って来いって言ってよ!」
「あーそうか、ごめん。気がつかなかったよ」

視線の先では振り返ったオタコンが、眼鏡の奥で目尻を下げて、申し訳無さそうに笑う。
いつも跳ねている茶色の髪は相変わらずだが、今日は無精髭もなく、披露した事もないようなタキシード姿だ。元来の猫背も、少しは背筋が伸びて見えた。
リボンタイだけが、まだ襟元にない。

「エプロンならここ、フリルのしかないけど。まぁこの際形は諦めて」
「えっ、ホント?準備いい」
「うちが主催みたいなもんよ。博士に仕切らせたら大変な事になるに決まってるし」
「言えてる」

メリルが荷物からたっぷりフリルのついたエプロンを引っ張り出し、彼女の結婚式以来すっかり交流のできた二人は、困った顔で佇む男を尻目に、会話を弾ませ始めた。

フリルはアキバの趣味かなぁ、と、オタコンは内心呑気に考えていた。自分もサニーにフリルのエプロンを贈った事があるからだ。
メリルの夫のジョニーは、ハイテクオタクで日本のアキハバラの常連だ。だからアキバ。
オタクコンベンションでオタコンの彼とは、一貫して好みが類似していた。
違うのは、アキバがハンサムで軍人、というスペックくらいだが、代わりにオタコンには研究者としての才能がある。

大自然の家に、賑やかにさえずる女性達の声。
開け放たれたドアの向こうに、やはりフォーマルな装いの白髪の老人が姿を見せると、今度は話題の矛先がそちらに向かう。

「あらスネーク、似合うじゃない」
「ホント、似合う!いかにも紳士って感じね」
「……随分とかしましいな」

褒められた当人は、さして感動もなく呟くと、部屋に足を踏み入れた。まだ何か言われるかと、やや警戒しているようだ。
短く切られた髪は撫で付けられ、口髭のノーブルな印象が、タキシードによく似合っている。
火傷の痕も痛々しいその顔に、刻まれた皺は深い。
頬も痩け、以前よりも年齢を感じさせていたが、女性達はそれには触れずに明るく話をしたし、彼もまた、細くなった体で気だるそうにしていても、姿勢のいい佇まいは変わらなかった。

「誰だ、ブラックタイオンリーなんて招待状にした奴は」
「あたしよ。文句言わせないわよ、人の結婚式来なかったくせに」
「……」

メリルが方眉を上げて、皮肉めいた微笑みを向けると、どっさりとソファーに収まったスネークは、渋い顔で口髭を歪めた。
責められたのではないとは分かっていた。
しかしバツの悪さは拭えず、しかも別の思い出までが蘇る。
彼女の結婚式当日、白い花の咲き誇る墓地で跪き、銃口を口に突っ込んでいた記憶。
舌には鉄の味が広がった。

何もかも、終わりにしなくてはと思っていた、あの時。
しかし引き金は引けないまま、代わりに殺したはずの父親が現れた。
終わりにしなくては、そう思っていた何もかもが、自分の知らぬ所で知らぬ間に、全て終わりを迎えていた。
一番渦中にいたはずが、一番蚊帳の外だったと、再び実感したあの日。
今目の前いる、かつて愛した女が、新たな人生に一歩踏み出したのだ。

今日、また一人の女性が一人の男と、今までとは違った生活を送り始める。
そのための再会、そのための装いだった。

無言になったスネークに、オタコンは気遣うように、しかし一見いかにも今思い出したように話しかける。

「あ、そういえばスネーク、僕のネクタイ知らないかい?」
「知るかそんなもん」
「そんなもんて。ああサニー、僕のネクタイ…」

相棒に予想以上に無下に返され、眉をしかめる彼の元に、淡い水色のドレス姿のサニーがやって来て、にこにこと両手を差し出す。
そこには蝶ネクタイが乗っていた。

「わぁ持ってきてくれたんだね、ありがとう」
「サニー、ローズはどう?支度できた?」

やっと自然な笑顔になった博士の背後から、メリルが声をかける。

「うん、すごく綺麗」
「えー見たい!ねえ見てきていい?」

途端に色めき立つメイ・リンに目をやり、彼女は仕方なさそうに笑った。

「仕方ないわね、ちゃんと戻ってきてよ」
「ちゃんと手伝うから」

言うが早いか、ヒールでも軽やかに走り去っていく後ろ姿を全員が眺め、階段を上っていく音を聞く。

「やっぱりウエディングドレスって、独身女性の憧れみたいだね」
「そりゃそうよ、私でも憧れてたくらいだもの。サニーもそうでしょ?」

微笑ましい様子で誰ともなく話すオタコンに、メリルが悪戯っぽく言うと、話題を振られた少女が恥ずかしそうに笑って、銀髪を揺らしながら頷いた。

「水色似合うわね。すごく可愛い」
「そうだろ?君のおすすめだったから。でも何で水色なんだい?」

褒められて頬を染めるサニーの頭にそっと手を置き、オタコンは自分が褒められたように、嬉しそうに胸を張った。
知らない人間が見たら、どこからどう見ても親子だ。
それを可笑しそうに眺めながら、メリルは肩をすくめる。

「サムシング・ブルーにちなんでよ。花嫁は青いものを身に付けると幸せが来るの。サニーはフラワーガールするでしょ」

フラワーガールは、花嫁の前に花びらを撒いて入場する少女の事で、バージンロードを清める意味がある。
リングベアラーという指輪を運ぶ少年は、雷電達の息子のリトル・ジョンが行う事になっていた。彼のベストもお揃いで水色だ。

「へぇ、そんな話があるんだ。…あれでも、君は青いものなんて持ってなかったよね」
「ガーターが青かった」
「…わお、そういうの有りなんだ」

からかうように言われ、オタコンは反応に困ってか一瞬返答に詰まり、少々赤くなりながら言葉を続けた。
それが面白かったのか、相手は更に付け加える。

「知らないの?ガータートス。花婿がドレスの中のガーターを取って放り投げたりもするけど、独身男性どもに向かって」
「それ、やらないでいてくれて良かったって思うよ。うん本当」

彼が困ったように視線をさ迷わせると、窓の外から覗いてくるメリルの夫と目が合った。
今しがたの会話が会話だっただけに、慌てて寄っていって窓を開けにかかると、外からは陽気な声が聞こえてくる。
彼女の部隊の男性陣は、家の庭にあたる湖に面した場所に、即席の会場を作っているところだ。
どういうわけか、歓声が上がったりしていた。

「大体セッティング終わったよ!雷電がすごいんだ。なんかもう人手いらないって感じでさ、かっこいいよね~、サイボーグ!」

アキバはひょっこりと顔だけ出して、興奮ぎみに報告し、目をキラキラと輝かせている。
SOPが廃止になり、メリルと結婚してから、彼は以前より屈託のない、堂々とした印象の青年になっていた。
相変わらず調子に乗っては、仲間うちで馬鹿にされたりもしているようだが、妻が夫を育てる典型的な夫婦だというのが、彼らに対する周囲の評価だ。

「あらそう、じゃあ遊んでないで中を手伝ってって皆に伝えて」
「メリルも見てみなよ。あのアーチ」
「後で嫌でも見るんだからからいいわよ」
「なに、怒ってる?ねえ俺達も記念に写真取らせてもらおう。白いドレスこっそり着てさ」
「何それ…まさかと思うけど、持ってきたの?」

驚いて、すぐにしかめっ面を作った妻に向かって、アキバは得意気な笑顔で細かく頷いた。
メリルは何か言おうとし、口をつぐんで、それからそっぽを向き、可能な限り低い声を出した。

「ちょっとキッチンまでいらっしゃい」
「え、うん。じゃあ皆に声かけたら行く」
「いいからいらっしゃい。今すぐよ」

彼女は怒った声でそれだけ言うと、さっさとリビングから出ていってしまう。
アキバは困惑顔で、やはり同じ方向に窓から消えた。
後に残されたのは、この家の家族だけ。
サニーが廊下を覗いて、キッチンの様子を窺おうとするのを引き留め、オタコンは肩をすくめて振り返った。

「ふー、あれって絶対、叱られるんじゃなくご褒美が待ってるよね」
「……」

見るとソファーに身を預けたスネークは、どうでもいい体でつまらなそうに、行儀悪くクッションに埋もれている。
本当は色々と気になるんだろうに、そう思って窓から顔を出すと、モミの木々の立ち並ぶ手前に白いアーチが出現し、金の鐘を下げていた。その天辺には小さな十字架もあり、手前には祭壇が、バージンロードの脇には白いテーブルと椅子が置かれている。
今しがた設置したとは思えない、湖のチャペルの風景だ。

「あれ見てくれよ、立派だねぇ。もしかしたら彼女も、こんな場所で挙式したかったかもしれないよ」

自分が叶えられなかった希望を、代わりに雷電達の結婚式に込めているのかもしれない、そんな気になる。


メリルの結婚時は、まだ軍内にも大きな混乱が残っている最中で、兵士は容易に部隊を離れられなかった。
SOPの廃止された穴は大きく、多くの元軍人に、訓練指導なり現役復帰の声がかかったものだ。
スネークも例に漏れず、アラスカでのキャンプを数度、任された。もちろん、身分は偽っての事だったが。
元々SOPに頼らず任務に着いていたアキバも、何かと声のかかる機会が多く、当時は上官のメリルよりも多忙だったほどだ。
そんな中での基地内の挙式は、ほんの少人数で、親族は花嫁の父親だけという簡略的なものだった。
それがいかにも軍人の2人らしく、仲間内で祝福された当人達は、それはそれは幸せそうではあったが。
















つづく


つづいてますが失礼して、全部で3回のお送りです~。
うちの小説はみんな繋がっているので、あくまでアラスカに住んでる設定大全開でお送りしております(笑)
スネークさんのマッシャー時代の犬の数が、40だったかもしれない。どこかに明言されていたかもしれないですが、忘れてましてそのまま書いちゃっております。曖昧、いつも曖昧(笑)
もしどなたかご存知でしたら教えてあげてください。

いつだったか、監督の呟きの写真に写っていて一瞬大騒ぎになったアンソロジーに載せていただいていたといういわく付きの小説でした。
ほとぼりが冷めた頃を狙ってようやっとの再録です。これを機に、大分加筆修正を行いました。(1話目はそうでもないかもしれない)
元からページ合わせにけっこう減らしてたんですが、それに更に加えております。とはいえ内容はほぼ変わらないです(笑)

本当は小説の挿し絵的なイラストがぼちぼち入っていたので、それも同時に載せたかったんですけども、相方さんのお宅のPCに入っておるので、それはまた今度にしようかなって思っていますよ。

そりでは、近々2、3と上げられる予定は未定で、どうぞよろしくお願いします♪(笑)


 
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テーマ : 二次創作:小説    ジャンル : 小説・文学
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◆プロフィール

輝思回生

Author:輝思回生
MG、特にMGSシリーズをこよなく愛しています。
こそこそしたり、遠くから眠らせたり、後ろから忍び寄って脅してみたり、なんて私にぴったりなゲームなんだ!

とにかくオタコンびいきです。
オタコンならば何でもいいという!(笑)
そしてスネークおじいちゃんのお髭愛も!

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