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溢れるMGS愛:PHILOS-ANTHROPOS

MGS語りや小説、考察?落書きと、愛しかない一風変わったMGS日記(不定期)

 
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Category: 短編小説【もくじ】 >  鐘の音(カネノネ)  

鐘の音(カネノネ)-すべての人のための音-3:MGS小説。雷電とローズとの結婚式inアラスカ、完結

 
鐘の音(カネノネ)~すべての人のための音~【3】










人間の力は有限だ。
奇跡を起こすのは、誰か一人の力だけではない。たとえそう見えたとしても。
だから人は神に祈る。自分の信じるものを定め、それに己を委ねたりする。
そうすることで、無限へと近付くために。

「ねえ雷電、神様が僕だけに、何かしてくれると思うかい?それとも僕だけに、何もしてくれないとか」
「え?」

オタコンの言わんとしている事が分からず、雷電はその人工の瞳で、自分を見る男の、眼鏡の奥の瞳を捉えた。
常に少し閉じかけたような、眠そうな瞼の中で、夢を見ているような灰色の瞳が、光を反射している。

「神様は、全ての人に、全ての事をしてくれてるんだよ」

ごく真面目な顔でそう言われ、返答に困る。

「僕にも君にも、同じようにしてくれているんだ。スネークにも、みんなにもね。その結果を変えてるのは僕達の方さ。多分」
「つまり、何もしないのとどう違うんだ」
「してくれてるのとしてくれてないのじゃ、大違いだ。それに、可能性にも差が出るだろ。僕達が干渉できる範囲が、認識の仕方で変わるかもしれないよ」

話が飛躍しだして、理解の範疇を超えそうだと感じた雷電は困惑顔になり、半ば諦めぎみに、自分の考えを口にした。

「それでも事実は変わらないだろう」
「どうかな。この世界は観測によって電子構造が決定する。認識がなければ、物質的存在もないんだ。じゃあ逆はどうだろう」
「想像もつかない」

どうやら博士は科学者として、神の話をしているようだという事までは、何となく彼にも伝わった。
しかし、戦う事で命の在り方を物質的に捉え、拠り所としてきた青年には、それが同じ世界の話とは思えない。
オタコンは、相手のそんな様子が全く気にならないのか、変わらぬ調子で続ける。

「例えばだけど、GWが自我みたいなものを持ったように、神様にだってそういうものがあるかもしれないじゃないか。物凄く高次元な電気的集合体っていうか、意識的物質の集合体かもしれないし。まあ物質じゃないんだろうけど、この場合。摂理とか、システムそのものなのかも」
「つまり?」
「つまり、アクセスする側の心積もり一つってことさ」
「…分かったような、分からないような感じだ」
「実は僕も、何となくそんな気がするっていうレベルの話」

熱心に説明していた割には無責任な締めくくりをされ、雷電は思わず眉をしかめた。
理解できないこともそうだが、理解を求められていないことにも、うっすら腹が立つ。

「いいのか?それで」
「専門じゃないからねぇ、別にいいさ。他にやる事が山とあるし、これって今の時代に研究してどうにかなるとも思えないし」
「……」
「まぁ、信じるものは救われるって言うだろ」

無責任ともとれる言葉を口にしながら、オタコンは、まるで良いことでもあったかのように笑った。
その平然とした清々しさを目の当たりにして、微かな憤りはすぐに薄れていく。強張った眉や肩からも、力が抜けるのを感じた。
要するにこれは彼の中で、いつか解明される現実とかいうものなのだろう。

今になってやっと、スネークが、彼とは全く正反対の相棒と一緒にいたのがなぜなのか、分かるような気になる。
明確にではないが、何となく。
それでいいのかもしれない。

身を切るような現実ばかり、はっきりと突き詰めなくてはならない事ばかりだろうか、この世界は。
この博士といると、自分が赦されたような、そんな気になるのだ。




例えば生と死や、精神と魂のような、明確な切れ目のないものの繋がりの、あちらとこちら側。人間はそれに名前をつけ、分類し、理解しようとする。
けれども自分の在り方や立場、存在を明らかにすることが、それだけが、正しいことだろうか。
もう長いこと、この機械じみた肉体と、中途半端な生命に、何かしらの結論をもうけなければならない気がしていた。
でも、そうでなくてもいいのかもしれない。
そうでなくても自分の存在は、肯定されているのかもしれない。
もしかしたら。





キャンベルがやってくると、式までは間もなくだった。
彼が最初に向かったのはメリルの元だ。キッチンに足を踏み入れると、やや緊張した面持ちで声をかける。

「遅れてすまない」
「ああ全然、これからよ」

忙しくしていた背中が振り返ると、揺れる赤毛の次に、濃い色の緑の瞳がキャンベルの目に入った。
それが思っていたよりも穏やかで、伸ばしていた背筋の筋肉がやや緩む。
何かとややこしい経緯のあった親子関係のうえ、軍の特殊部隊勤めの娘とあっては、時間を作ってもなかなか会えないのが現状だ。再会のたびに落ち着かない。
軍の組織上では相当上の立場に位置していた事実も、こうなると全く無意味だった。

「ローズは二階にいるから、他にいないし、父親役やってあげて」
「…いいのか?」
「何よその顔。娘の余裕でしょ。ほら行って」

メリルは部下にするように軽く首で指示を出し、申し訳なさそうな顔になった父親を二階に送り出した。
廊下に出たキャンベルは少しばかり足を止め、小さく首を振って、それから笑みを隠すように咳払いすると、階段を上っていく。
娘の余裕、という言葉を、無言で噛み締めながら。

一方彼の娘はといえば、ケーキのセッティングから料理の支度、飲み物の用意、子供たちの面倒まで、自らもしくは隊員を使ってそつなくこなし、あらゆる準備も終盤に差し掛かっていた。
花嫁は式まで新郎に姿を見せないのがしきたりだ。ローズは二階から下りて来ず、雷電は二階に足を踏み入れていない。
それぞれの任務を完了し、全員がキッチンに集合すると、報告と作戦本番のブリーフィングとあいなる。

「音楽も準備完了」
「ありがとジョナサン。あとは本番ね。エドは牧師役、頼んだわ」
「任せてくれ」
「リハーサルはないけど内輪だからいいでしょう。主役の花嫁が感激してくれたら成功よ。いい?」

キッチンで隊長の号令が出ると、そこにいた全員が軽快に返事を返す。
食器棚に寄りかかって一部始終を眺めていたスネークも、一応、といった風情で声を出していた。少しは気分が乗ってきたようだ。
アキバが呑気な声で、満足そうな隊長の脇から声をかける。

「メリル、俺は?」
「ベスト・マンてわけにいかないからアッシャーね。私もブライズメイドでいいし、エスコートして」
「了解。よろしく雷電!」
「ああ、よろしく」

ブライズメイドは花嫁に寄り添ってお世話する女性で、アッシャーは花婿の付き添いだ。本来はベスト・マンという親友の役もあるが、該当する人物のいないポストは飛ばして、それぞれが自分に適当な役割に分担された。
形式も内容も友人すら即席なウェディング。とはいえ、少なくとも若くて見目よい男性が並ぶと、景観だけは華やかだ。

「残念、もうちょっと年齢がいってたら、ときめくんだけどなー」
「お前がときめいてどうするんだ」

メイ・リンが悩ましげに呟いていると、背後から珍しくスネークがちょっかいを出す。
彼女は、半分閉じた目を背後に向け、痛い目に遭わないよう警戒しながら反論を返した。

「いいじゃない。人の旦那だって素敵なものは素敵よ」
「そうか、不倫はどうかと思うが」

そもそも反論した時点で警戒しても無駄だということに、メイ・リンは気付かない。

「不倫なんかしないし!目の保養とお付き合いは別だもん」
「目の保養がなければありなのか、ほう」
「しーなーい!ったら!」
「どうだか」
「なぁに!もう」

ぷりぷりと怒るメイ・リンのチャイナドレスの脇では、リトル・ジョンとサニーが、腕を組んでエスコートの練習をしている。
微笑ましく賑やかな家の中の様子を眺め、オタコンは、満たされた感覚と、同時に名残惜しさを感じていた。
ずっとこの家が、こんな風だったらいいのに。
決して長くなくてでいい、スネークがいなくなるまででいいから。

そんなことを思って。




「じゃあ、移動しようか?」

もの思いで滅入りそうになる気分を奮い立たせ、家の主が極力明るく口にすると、それを合図に各員が、会場へと足を向け始める。
思い思いに移動する中、無言で歩を進める新郎の隣に、アキバが歩み寄った。
彼にしてみれば雷電は、最新技術のメカの塊な上、戦闘員としても一流で、憧れが正装して歩いているようなものだ。声をかけたくて仕方ないのだった。
その上新郎としては自分の方が先輩でもある。経験者としての余裕からか、生来のお調子者気質か、人懐こく俯きがちの銀髪を覗き込んだ。

「緊張してる?」
「いや…ああ。そうだな。戦場にいる方がましかもしれない」
「花嫁を見たら、感動で吹っ飛ぶよ」
「だといいが」

軽く背中を叩かれ、雷電は視線を相手に向ける。隣で親しげに笑う男の邪気のない笑顔を見ると、ふと不思議な思いに駆られた。
初対面の人間に親切にする時、人はどんな気持ちなんだろうか。
この男も、一度戦場に向かえば、敵を殺す軍人だ。
同じ人間というだけで、戦場で出会えば殺し合い、そうでなければ友人にもなれる。
不思議な生き物だ。人間とは。

「世話になるな」
「そんなの全然!究極までかいつまむと、スネークはメリルの恩人で、君はそのスネークの恩人だろ。つまり俺達の恩人みたいなもんだし」
「そういうもんか」
「そういうもんじゃないの?」

なぜだか嬉しそうに話され、向けられる笑顔を見れば、何のことはない、簡単なことだった。
命や、色々なものと変わらない、曖昧な、けれど途切れもしない繋がりの、あちらとこちら。
博士の顔が思い浮かび、そしてスネークの顔が浮かんだ。
ずっと背中を追い続けた男の向こうには、密やかに慎ましく身を潜め、しかし確かに存在してきた、愛しい女性の面影がある。
決して自分を諦めず、想い続けてくれた。
見捨てないでいてくれた。
いつも、待ってくれていた。


後ろめたさや罪悪感、義務、そういった全てを放棄して、投げ出してしまえば、そこにあるのはただの、想いだ。
ほんの小さな頃、まだ何も分からなかった幼さで、誰かを求めたように。
理由なんかない、漠然と、何となく、心の中にいる。
無視しても、ずっといる。

それがローズだった。

どんなに否定しても、どんな形にしろ、彼女は常に、自分を待ってくれていた。
この世界の、どこにいても。

自分が、どんな人間になろうと。




式の始まりの合図に、アーチに下がった鐘を神父が鳴らす。
祝福の鐘の音。

幸せを告げる金の音色が軽やかに響いて、湖を渡り、山々を登り、空へと抜けて行く。
心を揺さぶられるような響きだ。

参列してからようやくネクタイと格闘していたオタコンは、ふと、蝶結びを作る手を止めた。

「ああ、そうか…」
「どうした」

隣に座った相棒が、前を見たまま眉をひそめる。

「うん、僕達は鐘の音みたいなものかもしれない」
「何?」
「前から思ってたんだ。魂を音にしたらどんなだろうってね」

またどうやら明後日の話が始まったという風に、スネークは顔をしかめた。この男がこういう話をするのは、別に今に始まったことではない。
そしてそれはいつも唐突だ。

「その顔、雷電も似たような顔してた。君達ってつくづく似てると思うよ」
「奴にもそんな話をしたのか」
「うーんまぁ、神様の話をちょっとね」
「それは誰でも、こんな顔になると思うぞ」

憮然とした表情で言われ、オタコンは口を尖らせる。もっともだと分かっていても、彼にとっては素敵な思い付きだったのだ。

「いいかいスネーク、僕は何も文学的な話をしようっていうんじゃないんだ」
「それは分かってるが」
「分かってないよ、ほらその痛々しい顔。そもそも君ってやつは…」

独自の科学的根拠に基づいた小言を披露しようと文句を言いかけ、動きが止まる。視線の先にはキャンベルの腕に手を添えた、花嫁の姿があった。
午後の光をすべて集めて色にしたような、眩しい純白のドレス。
幸せになれるという、6月の花嫁だ。

参列者のため息の中、振り返った雷電には、ベールの奥のローズの瞳まで、はっきりと見ることができていた。

そこには、全てがあった。
長く長く待ち続けた、喜びと、悲しみ、痛みの記憶と、そして赦しと。

自分は受け入れられている。
なぜだか、そう分かった。
彼女となら、一緒に生きられる。
この女性にならば、この先どう生きようと、受け入れていってもらえる。

ローズになら。



少女が花びらを撒き、花嫁は花婿の元へ、その一歩を踏み出した。


明るく世界に響き渡る、鐘の音に導かれ。








人は、誰もが自分だけの鐘を持っている。
それは様々な音色で、小さな可愛らしい音だったり、やかましい騒音だったり。
心地いい音も、そうでない音も、すべての音色が混ざりあって、世界が成り立っている。世界もひとつの音色だ。

スネークは特別大きな音のする鐘を持っていたけれど、彼だけじゃない、あらゆる人の鐘が、響きあって、世界は鳴り続けている。

その音色は、誰のためのものでもない、そう言う人もいるだろう。
でもそれと同時に、あらゆる誰かのためのもの、でもあるんだ。
それは、そう、神様の奏でる音色。


すべての人のための音。






















END


結婚式話の3話目、完結です。
時系列的には「幸福の記憶」以降「唯一の贈り物」以前の、冬~冬の間の短い夏のお話の印象です。
その後、全部の後に「ケ・セラ・セラ」で、私の木星コンビの歴史はひとまず終わりを迎えています。
あとは「へびたま」のMGR時代、スネークさんが木刀になって帰ってきたよ!な妄想に続いちゃっておりますけども(笑)

正直アラスカ隠居生活を考え始めた当初は、期限が半年とかあまり考えてなかった適当時代なので、冬~冬までスネークさんの寿命はもったのか、とか疑問ですが、アラスカは夏がすごく短くてすぐ冬になるそうなので、ギリギリいけているといいなぁ、とそんな気持ちで。

むしろちょっぴり寿命延びててくれていいんですのよ!ね!ドルビンにもらった新たなフォックスダイで起きた変異とかそういうので、体の細胞にも影響があってくれていいよ!

今回は1本の小説を3分割して文字数もマチマチでしたが、携帯で打ってた頃よりは多分長かったと思います。それぞれ。
それでねブローンネクさんの話とか楽しかったです~。
ただねぇ、彼のウィルダーネス生活の丸太小屋は、足元が直地面なので、スネークさん宅には床があってほしいって願ってるの、私(笑)
メリルが転がり込んだって考えているので、彼女があまり気の毒な生活環境でないといいな~と思っていて。
その時点で多少自前リフォームしたとしても手狭ですし、犬は大量におるしで、何かと無理のある設定です。そもそも犬どうやって暮らしてたの、陸路はないし、熊に狙われたでしょ!
みたいな事は、以前の記事でもって語ってましたので、そちらをご覧ください~。

■スネークさんの「独りだけじゃないウィルダーネス」:ツイン・レイクス湖畔で生活!■
これ今読むと、どえらいテンションでどうしようかしら!でした!まぁご愛嬌でお願いします~(笑)

アラスカには実際に、国立公園に立派な家を手作りして、宿泊施設を営んでるご夫妻とかもいらっしゃるみたいなので、伝説の男スネークさんならばそれなりに立派なお家が建てられたはず!だったらいいな!
ちなみにそのご夫妻がいるのはレイク・クラークではない別の場所なので、ちゃんと陸路もあるし、という感じ。
同じ国立公園でも条件的には大分違った環境だったりするようです。

そんなこんなで究極の隠遁生活。
ぜひメリルとのお話も書きたいのですけどもねぇ、ネタはあれども(笑)
メリルとの生活と、それが終わるまでの経緯とか。
私的にはオタコンがスカウトにやってきて、しかもそれが真冬という印象でしたが、実際に迎えに来てるとしたら時期的に夏くらいのお話なんですよね、たぶん(笑)
雪ないよ!っていう!
シャドーもセスの印象が強すぎて、あそこのお二人はいつも雪まみれでお話しているイメージなのでした(笑)





 
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テーマ : 二次創作:小説    ジャンル : 小説・文学
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◆プロフィール

輝思回生

Author:輝思回生
MG、特にMGSシリーズをこよなく愛しています。
こそこそしたり、遠くから眠らせたり、後ろから忍び寄って脅してみたり、なんて私にぴったりなゲームなんだ!

とにかくオタコンびいきです。
オタコンならば何でもいいという!(笑)
そしてスネークおじいちゃんのお髭愛も!

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